指数(Index)
指数をつかって物価の変化を定量的に表現してみましょう。
指数とは、比較の基準となる時点を決め、その基準となる物価に対して「上がった」「下がった」を比率で表したものです。
指数の算出にはいくつか方法がありますが、今回はラスパイレス指数とパーシェ指数の2つを紹介します。
ラスパイレス指数(Laspeyres Index)
P0 : 基準時の価格
Pt : 比較時の価格
Q0 : 比較時の数量
Qt : 比較時の数量
※P…Price、Q…Quantity
基準時の価格と数量、比較時の価格と数量をこのようにおくと、
ラスパイレス指数は次の計算式で与えられます。
P0i・Q0i : ある品目(i)を基準時の価格で購入したときの支払金額
∑P0i・Q0i : 基準時のすべての品目の合計支払金額
Pti・Q0i : ある品目(i)を、比較時の価格で基準時と同じ数量を購入したときの支払金額
∑Pti・Q0i :比較時の価格で基準時と同じ数量を購入した時の、すべての品目の合計支払金額
比較時に基準時と同じ買い物をするには、何倍の金額を支払わなければならないか?ということです。
基準時の数量ウェイト(重み)で加重平均をとっています。
次のような物価の動きをラスパイレス指数で表現してみましょう。
昨年を基準年とし、基準年を100とした時の物価指数を求めます。
昨年 | 今年 | |||
品目(i) | 価格 P0 |
数量 Q0 |
価格 Pt |
数量 Qt |
A | 100 | 20 | 120 | 15 |
B | 200 | 15 | 180 | 20 |
C | 100 | 30 | 90 | 25 |
昨年を100とした時の今年のラスパイレス指数は97.5であり、2.5%下落したことがわかりました。
パーシェ指数(Paasche Index)
パーシェ指数は、基準時ではなく、比較時の数量ウェイト(重み)で加重平均をとったものです。
比較時に買い物をするとき、基準時の価格で買った場合の何倍の金額を支払わなければならないのか?ということです。
計算式は次のようになります。
ラスパイレス指数を求めたのと同じ例で、パーシェ指数を計算してみましょう。
昨年 | 今年 | |||
品目(i) | 価格 P0 |
数量 Q0 |
価格 Pt |
数量 Qt |
A | 100 | 20 | 120 | 15 |
B | 200 | 15 | 180 | 20 |
C | 100 | 30 | 90 | 25 |
昨年を100とした時の今年のパーシェ指数は95.6で、4.4%の下落です。
まとめ
一般的に、ラスパイレス指数は過剰に、パーシェ指数は過少に偏る傾向があります。
ラスパイレス指数は、基準が決まっていれば、比較時には価格データだけを集めれば計算することができるので、価格と数量どちらも収集しなければならないパーシェ指数に比べて手間をかけずに算出することができます。
身近なところでは、総務省統計局の消費者物価指数がラスパイレス方式です。
また、時間的変化だけでなく、国家公務員(基準)と地方公務員の給与水準の比較にも、ラスパイレス指数が採用されています。各自治体のホームページでラスパイレス指数状況が公開されていますので、ネットで検索してみてください。
パーシェ指数は内閣府が発表するGDPデフレーターの計算などでつかわれています。